[解析事例]フィラー樹脂複合材料の熱伝導率計算
- 連続体モデル
- 熱
- マテリアルサイエンス
粒子法を用いた熱伝導計算
目的と手法
近年、電子回路の高集積化による電子機器の発熱が問題になっています。効率的に放熱させるためには熱伝導性の高い樹脂材料が必要です。しかしながら樹脂の熱伝導率は一般的に低く、高熱伝導率のフィラーを樹脂に混合した複合材料の開発が行われています[1]。本事例では、複合材料の熱伝導率評価の事例をご紹介します。
J-OCTAのエンジンのひとつである VSOP-PS は、粒子法(MPS=Moving Particle Simulation(or Semi-Implicit)method)を用いて熱伝導方程式を解きます。他の手法と比べて、図のような高密度充填構造の計算にも対応しやすいメリットがあります。モデルは両端3層が熱源でその間にフィラーと樹脂粒子を配置します。樹脂は 1粒子、フィラーは複数粒子を結合します。有効熱伝導率は、形成される温度勾配と勾配方向の充填粒子層の厚さを用いてフーリエの式から計算します。
図1. 高密度充填構造
結果
図2 は図1 でモデル化した樹脂粒子とフィラーの複合材料におけるフィラーの体積分率と有効熱伝導率の関係を示しています。線は Bruggeman の近似式から得られた結果です[1]。VSOP-PS の計算結果は色付きの〇と□です。VSOP-PS の結果は Bruggeman の近似式と近い結果を示しています。1点の計算時間は30分程度です(粒子数約20000)。
VSOP-PS による複合材料の熱伝導計算にご興味がございましたら、ご連絡ください。
図2. フィラーの体積分率と有効熱伝導率の関係
- *参考文献
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- [1] Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 14, 429-436 (2007)
事例一覧
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