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J-OCTA事例:MD-GANを用いた長時間の分子運動の予測

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短時間のMD計算結果から、MD-GAN(機械学習)を用いて長時間の分子の運動を予測し、拡散現象を評価。

分子動力学計算を用いることで、拡散係数など多様な物理量、物性を評価することが可能です。一方で、分子のダイナミクスを追う必要があるため、長時間の現象を扱うには計算時間を要します。

慶應義塾大学の泰岡研究室(http://www.yasuoka.mech.keio.ac.jp/)で開発したMD-GANを用いると、短時間の分子運動のデータをもとにして長時間の分子運動を予測することが可能です。

図1. MD-GANによって長時間の分子運動を予測図1. MD-GANによって長時間の分子運動を予測

参考文献では、ポリマーのダイナミクス[1][2]や全固体電池中のLiイオンの拡散[3]など、複雑なテーマを扱っていますが、ここではよりシンプルな対象として、水とベンゼンのバルク中の拡散挙動の結果を示します[4]。

図2は、水とベンゼン分子の平均二乗変位(MSD)を示しています。MD計算結果(黒点線)のうち「緑色で示した短時間領域のデータ」を用いて、MD-GANにより赤実線のデータを得ました。両者には短時間領域で少しずれが見られるものの、教師データ外である長時間領域(白色の領域)においてよく一致しています。

今回は検証のため、長時間領域においてもMD計算結果との比較を行いましたが、実際のニーズとして考えられる「MD計算では困難な、より長時間の現象」を、MD-GANを用いることで予測できることを示唆しています。

図2. MD-GANによって予測されたMSD(左:水、右:ベンゼン)黒点線がMD計算結果、赤実線がMD-GANによる予測結果。MD計算結果のうち緑色の短時間領域のデータを用いてMD-GANを実行。長時間領域(白色の領域)において、分子運動をよく予測している。

図2. MD-GANによって予測されたMSD(左:水、右:ベンゼン)黒点線がMD計算結果、赤実線がMD-GANによる予測結果。MD計算結果のうち緑色の短時間領域のデータを用いてMD-GANを実行。長時間領域(白色の領域)において、分子運動をよく予測している。。

図2. MD-GANによって予測されたMSD(左:水、右:ベンゼン)
黒点線がMD計算結果、赤実線がMD-GANによる予測結果。
MD計算結果のうち緑色の短時間領域のデータを用いてMD-GANを実行。
長時間領域(白色の領域)において、分子運動をよく予測している。

MD-GANはJ-OCTAのオプション機能としてご提供しています。先述の通り、参考文献にあるような様々なターゲットへの適用が可能です。ご興味がございましたらお気軽にご連絡ください。

*参考文献
  • [1] K. Endo, K. Tomobe, and K. Yasuoka, In Thirty-Second AAAI Conference on Artificial Intelligence, pp. 2192-2199, (2018)
    https://ojs.aaai.org/index.php/AAAI/article/view/11863/11722
  • [2] 川田ら, “MD-GAN を用いたポリエチレンの拡散予測”, 第35回分子シミュレーション討論会, (2021)
  • [3] 山田ら, “MD-GANを使用した固体電解質内のリチウムイオンの拡散係数予測”, 第34回分子シミュレーション討論会, (2020)
  • [4] 湯原ら, “機械学習による分子動力学シミュレーションの時間発展新手法を用いた各種物理量予測”, 第32回分子シミュレーション討論会, (2018)

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