J-OCTA事例:FMO-DPDを用いた脂質膜とベシクルの形成
- 量子化学・DFT
- DPD・平均場
- マルチスケール解析
- 界面・相分離・粒子分散性
- ライフサイエンス
FCEWSを用いてχパラメータを予測し、リン脂質のメソスケール解析を実施
メソスケールのシミュレーション手法である散逸粒子動力学(DPD)を用いて、脂質二重膜および混合脂質のベシクル(リポソーム)形成のシミュレーションが可能です。ベシクルは脂質ナノ粒子(LNP)として、ドラッグデリバリーシステム(DDS)に用いることができます。
以下の事例では、代表的なリン脂質であるPOPCが水中で形成する構造をDPDを用いて解析しました[1]。
まず、脂質分子をセグメントに分割し、セグメント間のχパラメータ(相互作用パラメータ)を、FMO(フラグメント分子軌道法)を用いることで高精度な予測が可能なFCEWSで推算します(図1)。水分子は4つで1つのDPD粒子としています。
図1.POPC分子のセグメント分割
その後、DPDを用いて脂質の分率を変えることで、脂質二重膜やベシクルが形成される様子がわかります(図2)。脂質膜の結果を解析したところ、一つの脂質分子が占める面積を表す膜面積は69.4Å2となりましたが、実験値は62.7〜68.3Å2となっており、よく一致しています。さらに脂質膜の膜厚は2.58nmとなりましたが、実験値は2.8nmであり、こちらもよく一致しています。
FCEWSは立教大学の望月研究室で開発されており、J-OCTAに含まれています。詳細は文献[1][2]をご参照ください。
図2.DPDで計算された水中の構造
- *参考文献
-
- [1] Chem.Phys.Lett., 684, pp427-432, (2017)
- [2] https://www.cenav.org/fcews_ver1_rev2/
事例一覧
-
- タイヤの耐摩耗性の向上
- COSMO法による物性推算
- VSOP-PSによる繊維配向材のシミュレーション
- 粗視化モデルによる脂質膜の解析
- 機械学習による沸点、屈折率、比誘電率の推算
- ナノトライボロジー(アブレシブ摩耗、ナノ加工)
- コバルト酸リチウムの基底状態と弾性率の解析(SIESTA事例ページへ)
- MD-GANによる固体電池内のLiイオン拡散解析
- リバースマッピングによるアモルファス構造の作成
- 電池電極の成形プロセス(カレンダリング)における圧力と空隙率の計算
- 粗視化分子動力学を用いた複屈折の解析
- 高分子膜の相分離プロセスシミュレーション
- 機械学習によるχパラメータの推定
- 水への溶解性評価
- フィラー樹脂複合材料の熱伝導率計算
- VSOP-PSによる繊維構造への樹脂含浸プロセス計算
- mol-inferを用いたQSPRの逆解析
- FMO-DPDを用いた高分子電解質の相分離構造
- FMO-DPDを用いた脂質膜とベシクルの形成
- カルサイト(方解石)の複屈折と光吸収(SIESTA事例ページへ)
- リチウムイオン電池のシミュレーション(SIESTA事例ページへ)
- 懸濁液の粘度の評価
- 量子補正を適用した固体の定積比熱の評価
- MD-GANを用いた長時間の分子運動の予測
- ポリマーの誘電緩和
- 金属錯体の吸収スペクトル(SIESTA事例ページへ)
- ゼオライトとガス分子の相互作用(SIESTA事例ページへ)
- 蒸着膜のシミュレーション
- 機械学習QSPRとマテリアルズ・インフォマティクス
- シミュレーション結果を用いた粘弾性マスターカーブの作成
- DPDを用いた粘弾性のシミュレーション
- 表面の再構成(SIESTA事例ページへ)
- フォノン分散を利用した剛性マトリクスの算出(SIESTA事例ページへ)
- Steered MDによるポリペプチドの自由エネルギー変化の解析
- 金属の電子比熱解析(SIESTA事例ページへ)
- 格子比熱の解析(SIESTA事例ページへ)
- J-OCTAによる蓄熱材の評価
- MDおよびMO/DFTを用いた比誘電率の評価
- 溶解度係数の算出
- 機械特性評価(SIESTA事例ページへ)
- 結晶の熱膨張(SIESTA事例ページへ)
- ゼオライトへのガス吸着
- GHz周波数領域における水の誘電分散(2)
- 反応のエネルギー変化(SIESTA事例ページへ)
- GHz周波数領域における水の誘電分散(1)
- 固体表面への分子の吸着エネルギー(SIESTA事例ページへ)
- 活性化エネルギーを用いたモンテカルロ判定によるエポキシ樹脂の架橋反応
- 樹脂 複屈折のためのマルチスケールシミュレーション
- 顔料の表面エネルギー(SIESTA事例ページへ)
- スラリー塗工プロセス
- 金属表面と分子の相互作用
- フィラー充填ゴムの繰り返し伸長
- 界面特性を考慮したCFRTPの破壊挙動の解析(Digimat事例ページへ)
- グラフェンシート添加によるCFRTPのマトリクス熱伝導特性改質(Digimat事例ページへ)
- 非平衡MDによる熱伝導率の計算
- ゴム材料のレオロジーシミュレーション
- 架橋フェノール樹脂の物性評価
- エポキシ樹脂架橋反応のシミュレーションからのガラス転移温度評価
- 電池用電解液の計算
- カーボンナノチューブの分散構造と非線形構造解析
- 粗視化ポテンシャルの評価
- DPDによる溶媒蒸発シミュレーション
- ガラス状態ポリマーの一軸伸長とクレーズ形成
- 高分子-固体界面の摩擦
- MDによる粘度の評価
- 相図からのχパラメータ推算
- 高分子-固体界面の剥離
- 気体の溶解係数と自由体積
- QSPRによる物性値の推算
- レオロジー特性
- 熱硬化性樹脂の架橋構造
- MDによる比誘電率の評価
- 複合材料の非線形力学特性(LS-DYNAとの連携)
- DPDによる界面張力の評価
- MDによる溶解度パラメータの評価
- DPDによる液滴のずり変形
- MDによる界面張力の評価
- 体積弾性率評価
- 界面活性剤の影響評価
- 燃料電池の高分子電解質膜解析
- 一軸伸張解析
- 光学特性評価
- ガラス転移温度評価
- ガス拡散解析
- ガス透過解析
- 架橋構造材料の特性評価
- コンポジット材料の特性解析
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。