[解析事例] シミュレーション結果を用いた粘弾性マスターカーブの作成
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緩和弾性率を動的弾性率に変換
J-OCTAには、シミュレーション結果として得られる緩和弾性率データから粘弾性マスターカーブを計算する方法がいくつか含まれています。ここでは2つの手法を用いた例を紹介します。
1つ目は、グラスゴー大学のM.Tassieri先生らが開発したi-Rheo GTはレオロジー試験の特性に基づきフーリエ変換を実施する計算手法です[1][2]。データ点数が限られる中、パラメータ無しで高速な評価が可能です。
図1は検証として実施した粘弾性固体への適用例です。あらかじめ特性を式で与えたモデル的な材料を用いているため、理論解との比較ができます。FFTでは低周波での挙動が不適切ですが、i-Rheo GTは理論と良好に一致している様子が分かります。
図1 粘弾性固体への適用
図2は、粗視化MD(Kremer-Grestモデル、ポリマー鎖長=200)で得られた緩和弾性率G(t)を用いた結果です。FFTの結果とi-Rheo GTの結果がよく一致しているのが分かります。
図2. 粗視化MDで得られた緩和弾性率を用いた粘弾性マスターカーブの評価
図3. i-Rheo GTとJ-OCTAの連携概要図
2つ目は、一般化Maxwellモデルを用いた手法です。粘弾性材料の動的弾性率は一般化Maxwellモデルを用いてモデル化されることがあります。特に有限要素解析(FEA)に使う材料モデルでは、Prony級数の係数で指定されることが多いです。
ここでは、非線形最小二乗法を用いて緩和弾性率G(t)の時系列データをProny級数にフィッテイングし、級数の係数を評価します。得られたモデルを用いて動的弾性率のデータを出力することができます。図4はシミュレーションなどで得られる緩和弾性率をProny級数にフィッティングし、最終的に粘弾性マスターカーブを求めた例です。Prony級数のデータは有限要素解析(FEA)などで利用することも容易にできるでしょう。
図4. 一般化Maxwellモデルを用いた粘弾性マスターカーブの評価
左図で赤い点が入力データ、青い線がフィッティングした結果
- *参考文献
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- [1] M. Tassieri, et al., Macromolecules 51, 14, 5055-5068 (2018)
- [2] M. Tassieri, et al., Journal of Rheology 60, 649 (2016) (2016's most read article in the Journal of Rheology)
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