J-OCTA事例:懸濁液の粘度の評価
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粒子法(MPS)を用いたフィラー分散系の流体解析により粘度を評価
目的と手法
液体中に1μm前後の大きさの固体微粒子(フィラー)が分散したものを懸濁液と言いますが、その物性評価やメカニズム解析は、インクや電池電極の製造プロセスなど多くの産業分野で重要となります。ここでは、粘度評価の事例を紹介します。
J-OCTAのエンジンの一つであるVSOP-PSでは、粒子法(MPS=Moving Particle Simulation(or Semi-Implicit) method)を用いて流体の基礎方程式であるNavier-Stokes方程式を解きます。その際に、固体微粒子を含めて計算することが可能ですが、2つのモデルを選択することができます。図1の左側をミクロモデル、右側をメソモデルと呼んでいます。ミクロモデルでは、1つの固体微粒子は「複数の黄色い球」がつながってモデル化されています。メソモデルでは、1つの固体微粒子は「1つの黄色い球」で表現されています。ミクロモデルでは複雑な固体粒子形状をモデル化できます。一方で、メソモデルの固体微粒子はより粗視化されており、結果的に多くの固体微粒子を含む系の計算が可能となります。
図1 VSOP-PSを用いた懸濁液の計算
(左:ミクロモデル、右:メソモデル)
結果
図2は、固体微粒子の体積分率と粘度の関係をプロットしたものです。VSOP-PSの結果(meso modelとmicro model)以外は、それぞれモデル式に基づくものです。VSOP-PSのミクロモデルとメソモデルは、高濃度域でよく参照されるThomasモデルと近い結果を示しています。
微粒子分散系については、フリー版OCTAには、すでにSmoothed Profile MethodをベースとしたKAPSELが含まれており、懸濁液の諸現象の高精度なシミュレーションが可能です。一方でVSOP-PSは粒子法のメリットを活かして、液滴や蒸発現象、多孔質中の流れ場、熱連成など、幅広い現象をターゲットに開発を進めており、KAPSELとの使い分けが可能です。VSOP-PSにご興味がございましたら、ご連絡ください。
図2 懸濁液の粘度と固体微粒子の体積分率の関係
事例一覧
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- FMO-DPDを用いた脂質膜とベシクルの形成
- カルサイト(方解石)の複屈折と光吸収(SIESTA事例ページへ)
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