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[解析事例] Steered MDによるポリペプチドの自由エネルギー変化の解析

全原子MD
分子構造・親和性・溶解性
ライフサイエンス

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事例データDL

反応座標に沿った自由エネルギーの変化を解析

目的と手法

Steered Molecular Dynamics (SMD)では、仮想粒子によって系の構造を強制的に変化させ、その際に仮想粒子にかかる力f から系になされた仕事Wを評価し、構造変化に伴う自由エネルギー変化ΔFを計算することができます。

この方法でポリペプチドの末端間距離を反応座標として、伸長状態からヘリックス状態に構造変化する際の自由エネルギー変化を計算しました。図1に示すように、ポリペプチドとしてアラニン10量体をモデリングし、GAFF力場を設定しました。N末端を固定し、C末端に仮想粒子を結合し、末端間距離を変化させるSMD計算を行いました。仕事Wのアンサンブル平均は10個のトラジェクトリから計算しました。仮想粒子の速さvは0.1m/sと1.0m/sで計算を行いました。

図1 計算に用いたモデル(アラニン10量体)。 N末端を固定しC末端を動かす。図1 計算に用いたモデル(アラニン10量体)。 N末端を固定しC末端を動かす。

解析結果

計算された自由エネルギーの変化を末端間距離に対してプロットしたものを図2に示します。
図の左にはv=0.1m/sで計算した、伸長状態から縮まる過程(contracting)とヘリックスから伸びていく過程(stretching)の自由エネルギー変化を示しました。末端間距離が長い領域でずれが見られますが、両過程でほぼ同等の結果が得られました。理想的には、過程に依らず同じ自由エネルギー差が得られることが期待されます。
図の右には仮想粒子の移動速度について伸長過程の自由エネルギー変化を比較しており、v=0.1m/sで計算した場合の方が自由エネルギー変化が小さくなりました。
計算された自由エネルギー差は参考文献[1]の結果よりも大きなものになっていますが、これは主に力場の違いによるものと考えられます。

図2 (左) ポリペプチドの伸長状態-ヘリックス状態の自由エネルギー変化。(右) 仮想粒子速度を変えた場合の自由エネルギー変化。図2 (左) ポリペプチドの伸長状態-ヘリックス状態の自由エネルギー変化。(右) 仮想粒子速度を変えた場合の自由エネルギー変化。

*参考文献
  • [1] S. Park, et al., “Free Energy Calculation from Steered Molecular Dynamics Simulations Using Jarzynski ’ s Equality,” J. Chem. Phys., 119, 3553, (2003).

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