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[解析事例] 液膜蒸発乾燥シミュレーション

連続体モデル
界面・相分離・粒子分散性
マテリアルサイエンス

粒子法による蒸発乾燥中のフィラー密度分布解析

目的と手法

リチウムイオン電池の電極スラリーや塗装製品には、前工程で作成された液膜を蒸発乾燥させる工程があります。この液膜蒸発乾燥工程において、液膜が含有する粒子のサイズ違いにより、小粒子が表面付近に凝集する現象(粒子偏析)が問題になる場合があります。例えば、塗布膜中の高分子ラテックス粒子(小粒子)は、蒸発乾燥後、膜表面に偏析し、塗布膜と金属基板との密着強度低下、剥離等欠陥の要因となることが報告されています[1]

J-OCTAのエンジンの一つであるVSOP-PSは、粒子法(MPS)を用いた液膜蒸発乾燥計算をすることが可能です。今回、大小2種類のフィラーを含む液膜の蒸発乾燥計算を行い、液膜厚さ方向の大小フィラーの密度を算出することにより、粒子偏析の解析を行いました。

図1.液膜蒸発乾燥モデル図1.液膜蒸発乾燥モデル

結果

蒸発乾燥過程のアニメーションを動画1に示します。溶媒の蒸発乾燥とともにフィラーが表面近傍に凝集する様子を確認できました。また粒子偏析を数値化するため、計算終盤(溶媒が残っている時間)の薄膜中のフィラー密度の膜厚方向分布を図2に示します。小フィラーは大フィラーと比べて、表面付近の密度が高いことから、小フィラーの偏析傾向を再現しました。

VSOP-PSの蒸発乾燥計算により、様々な形状のフィラーを含む液膜の蒸発乾燥後の粒子構造を解析することが可能です。

蒸発乾燥過程 粒子描画

蒸発乾燥過程 粒子描画

蒸発乾燥過程 等値面描画

蒸発乾燥過程 等値面描画

図2.フィラー密度の膜厚方向分布(Distance 15=膜厚1.5um)図2.フィラー密度の膜厚方向分布(Distance 15=膜厚1.5um)

*参考文献

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